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失敗しない遺言書 第6回 「遺言書作成の注意点」(2012/01/18)

 今回は、遺言書を作成する際に注意すべき点についてご説明します。
1 すべての財産について遺言する。
 遺言書で書かれた財産が一部の財産のみですと、せっかく作成した遺言書ですが、その効果が半減してしまいます。その問題点を2つ掲げます。

(1) 分割協議を行わなければならないこと
 遺言書に記載のない財産について、相続人で分割協議が行なわれます。
 遺言書を作成するのは、特定の財産を特定の相続人その他の者の与える意志表示をすることであるとともに、その効果として相続人の間での余計な話合いを避け、相続人間で発生し得るかもしれない財産を巡ってのトラブルを避けることができます。
 この点で、一部の財産についてのみの遺言ですと、その財産についての意志表示はできますが、指定のない財産について、相続人に委ねなければなりませんので、相続人間の衝突を完全に予防することができません。

(2) 遺言で指定されなかった財産は、遺言で指定された財産を含めて相続分に近づく
 分割協議では、遺言に記載された財産も含んで、全体の財産を相続分で取得することができるため、分割協議により受け取る財産は、相対的に受遺者に少なくなり、そうでない相続人に多くなります。
 しかし、果たして遺言者は特定の相続人に特定の財産ついてのみ遺言した場合、遺言書で指定していない財産について受遺者に 与えられる財産が少なくなることを認識していたでしょうか?また、残りの財産を「相続人全員で等分」に、あるいは、「相続人全員で法定相続分」でと考えていなかったでしょうか?実際、そのあたりの的確な判断をして遺言書を書かれる方は少ないのではないでしょうか? 

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 以上のように、一部の財産についてのみの遺言ですと、残りの財産について分割協議でトラブルが起きる可能性があることや、分割の割合が遺言者の意志の想定外になる可能性があります。

 2 遺留分に考慮する

 遺言がされていても、相続人として財産を得る最低限の権利として、「遺留分」というものがあります。 この権利は、配偶者、子や孫等の直系卑属、父母祖父母等の直系尊属に存し(兄弟姉妹にはありません)、その権利を行使することは任意ですが、遺留分の割合は、各人の法定相続分のさらにその2分の1となっています(直系尊属だけが相続人の場合は3分の1です)。 例えば、遺産の全部について、特定の相続人やその他の者に与えようと遺言しても、遺留分の権利を持つ相続人が、その請求を起こすことによって、財産の一部を遺留分の請求者に回さざるを得なくなります。

 遺留分の請求が起これば、受遺者と遺留分請求者の間で衝突が生じ、結果的に、請求を受けた財産を請求者に渡すか、あるいは、それに見合う金銭を代わりに支払わなければならなくなります。

 「絶対、財産を渡したくない」という強い意志が遺言者にない限り、遺留分についても考慮すべきです。遺留分の請求の可能性があるならば、多少なりとも遺言してはいかがでしょうか?

 3 「付言」を入れる

 法的には効力がありませんが、遺言書に記載する文章に「付言」というものがあります。

 付言は、遺言者の相続人や家族への想いや、あるいは、財産に関しての考えを記したものです。その付言があることで、遺言者の意思を理解することができます。

 例えば、次のような付言があります。

「妻○○は、長年私に連れ合い、私のわがままも聞いてくれた。したがって、私の財産については、すべて妻にやることとする。長男以下の子供達もそれに了承することを望む。」

・「長男○○は、○○家の跡継ぎとして、代々の田畑を受け継ぎ、先祖の祭祀を引き継ぐものとする。次男○○や長女○○は、○○家のためと思って私の意向に沿ってくれることを希望する。」

  遺言書が発見されても、遺言書の内容を信じない相続人がいます。遺言の内容が、生前、遺言者から聞いていたことと異なったりしていると、その遺言書が偽の遺言書であると思い、他の受遺者に不信感をもったりします。

 生前に、遺言者から財産をどう受け継がせるか聞いていたとおりの遺言であれば、よいでしょうが、そうでなければ信じがたいものです。もし、従前に話していたことと内容が変わるのであれば「付言」を利用します。

 

 

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NPO法人 相続相談センター