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相談コラム

遺言で救急車を寄付したい.(2018/10/21)

夫が生前、急性心不全を発症して2度ほど救急車で病院に運ばれたことがあって、財産の一部を遺言で救急車の購入のために寄付したいとの相談がありました。

救急車を寄付するといっても、救急車の購入にいくらかかるかわからないものですし、消防局と折衝して、その手続きを誰かが代わりに行わないといけないこともあるため、生前にご自身で消防局と相談して話を進めた方がよいとお答えしました。

しかし、現在、株式の配当等と年金で生活しているので、今は寄付できないが、亡くなった後であれば、子供たちも生活できる程度の財産もあることから、寄付したいとのご要望でした。

該当する市の消防局に問い合わせたところ、その市では同じ仕様の救急車でまとめているとのこと、また、金銭の寄付では直接的に救急車の購入に充てられたかどうかは明確にわからないのでは、ということで、まずは一度ご相談いただいた方がよいとの回答でした。

実際の今まで寄付されたケースでは、寄付されるご本人と消防局と車の製造を行うメーカー側と3者で打ち合わせて、一旦、ご本人の車として発注を行い、納車とともに市への寄付を行うとのこと、併せて、納車時に寄贈式を行い、感謝状を贈呈するとのことでした。

この寄付行為を遺言書に表すことにし、その遺言書では相続人に市の消防局との相談の上、株式等の金融資産を換価処分して救急車を寄付するようにしました。実際には相続人である娘さんとそのご主人に手伝ってもらい、手続きを進めてもらう予定です。

母の相続分を1/2超にした方がいい場合 とは?(2018/09/01)

医者であるお父さんがこの3月に亡くなられました。お母さんと兄2人と合わせて4人が相続人です。母と長兄から「子3人の相続分を法定相続分(2分の1)より少ない遺留分程度の4分の1に下げ、母の相続分を法定相続分の2分の1を超える4分の3程度にした方が相続税上有利だ」といわれたが、「本当なのでしょうか?」と相談に見えられた。

 

お母さんの相続分を4分の3にした方が、相続税が有利という場合は、相続税では配偶者に関して法定相続分の2分の1、又は、財産額で16千万円まで無税のため、法定相続分の2分の1を超えても、1億6千万円以下のため、そのようにいっているのではないか、つまり、母の相続財産が1億6千万円で、かつ、相続分が4分の3となる財産額を逆算すると21333万円程度の財産があるのではと申し上げたが、相談者によると相続財産は3億円以上あるとのことだった。

 

財産が3億円以上ある場合で母に4分の3程度財産を持たせるときに、相続税が最も安くなるとは一体どういうことでしょうか?考えられることとしては、次のようなことが想定されます。

 ①    マイナスの財産である借入金が別にあり、その借入金が差し引けば純財産が2億円程度となって、母の相続分が4分の3でも全額非課税となる

 ②    自宅の土地について一定要件を満たせば約100坪までの評価額が8割減額される小規模宅地の減額制度の適用によって、3億円ある財産も2億円程度まで下がる。

 ③    母や長兄の説明していることと三男が聞いた内容に錯誤がある。

 以上のようなことを除けば、母の取り分4分の3の方が得だということはなかなか考えにくいところです。さらに、お母さんの場合はそれなりにご自身で財産形成もされていらっしゃると思われますので、お母さんの元々に財産にお父さんからの財産が上乗せされるとお母さんの相続の際の相続税が余計にかかり、両者の相続税の合計額がより増えてしまいます。

一般的にお母さんに財産がある場合には、相続税上、お母さんに相続される財産は2分の1未満である方がむしろ両者に係る相続税が最も低くなり、お母さんの相続分を2分の1を超えて相続させることが相続税上有利であるとはいえません。

 

 このようなことを考えますと、果たして、お母さんと長兄がいっている母4分の3、子が4分の1というのは、他に何か考えがあるのではないかと思ってしまいます。

配偶者の自宅の居住権の創設(2018/08/13)

被相続人が所有していた自宅の土地建物が相続される場合、残された配偶者に自宅に住しみつづける権利が新たに設けられます。

被相続人の財産に関して、配偶者が自宅の土地や建物を相続すれば、金融資産等を相続する分が減ります。土地や建物は財産の中でも評価の高いものですから、その分金融資産等の相続が減ることで今後の生活に不安が残ります。逆に生活の安定を図り、金融資産を相続すれば、自宅の土地建物が相続できなくなり、自宅に居住できなくなる恐れが生じます。

そこで、民法が新たに配偶者に自宅に住む権利「配偶者居住権」を設けました。

これは相続から6か月間か遺産分割協議が確定する日のいずれか遅い方の日まで住むことが認められる権利(これを「配偶者短期居住権」といいます。)とそれ以後、遺産分割協議でまとまるか、又は遺言で指定されていた場合に終身にわたって居住が認められる権利(これを「配偶者居住権」といいます。)との両方があります。

結果、配偶者の相続財産のうちにかなりの割合で占めていた自宅の土地や建物がこの配偶者居住権によってかなり財産としての評価が軽減されるため、より金融資産等の他の財産を得やすくなり経済的な不安が払拭され安心して暮らしやすくなります。(この配偶者居住権は借家権を参考に評価が今後出されていくものと思われます。)

相続法改正 その2 自筆証書遺言の法務局での保管(2018/08/03)

自筆証書遺言は作成後、自身で金庫や大切な書類をしまってあるところに保管しますが、紛失したり、破棄されてしまう可能性があります。万一の際に表にでてこなければ意味がありません。

このような心配があれば公正証書遺言の方が安全です。

今回の民法の改正で法務局での遺言書の保管制度ができます。

これは「法務局における遺言書の保管に関する法律」が新たに制定されて、申請書に遺言書を添えて法務局に提出すれば遺言書を保管してもらえる制度です。

この制度により、遺言書を預かってくれる公の機関が存在することになり、紛失、破棄等の恐れがなくなり、安心して自筆の遺言書を預けることができるようになります。

また、自ら法務局へ出向いて、本人確認の上遺言書を保管しますので、遺言書の内容が自らの意思に基づくものであると判断しやすくなります。

従来、自筆証書遺言では、保管の安全性や本人の意思かどうかでもめるところがありましたが、それがより確実になるという点で今後の利用が拡がっていくものと思います。

 

相続法改正 自筆証書遺言に自筆でない財産目録の添付が可能に(2018/07/22)

自筆証書遺言は、全文自筆で日付と押印があれば完成できます。内容が簡便であれば、簡単に作成できますが、一方で内容が複雑で財産の種類が多ければ、量も多くなり間違いのないように作成するには苦労します。

今回の民法の改正で財産の表示については、別紙に目録として表せば、自筆で作成していなくても、パソコンで作成したものや第3者が作成したもの、あるいは不動産の登記簿謄本や通帳の写しを利用することが可能となりました。このような財産目録として添付すれば、全文自筆でなくてもよくなったのです(ただし、この財産目録については一枚ごとに自署押印は必要です)。

この改正がされれば、財産を間違って表記したり、書き間違えることも少なくなります。特に不動産について指定する際に、マンションであれば登記簿謄本どおり記載するにはかなりの量になって面倒ですが、これが登記簿謄本の写しを財産目録として代用することができます。

施行後は、例えば、遺言書の本文(一枚目)で、「配偶者には別紙1の財産を相続させる。

長男には別紙2の財産を相続させる。長女には別紙3の財産を相続させる。」というように作成して、二枚目以下に別紙として用意した財産目録を綴れば、容易に完成します。

今後、このような本文と財産目録のセットというスタイルで作成される自筆証書遺言が多くなると予想されます。

 

 

子のいない夫婦の遺言書(2018/07/08)

ご夫婦がお見えになり、お互いに遺言書を作成しているのだが、同時に夫婦が死亡した場合にどうなるのかとのご質問をいただきました。

同時死亡の場合には、お互いがいないものとして各々の相続関係をとらえます。このご夫婦の場合には子供がいないため、夫の財産は夫の兄弟姉妹(その兄弟姉妹が亡くなっている場合にはその子である甥や姪、以下同様)が、妻の場合には妻の兄弟姉妹が相続人となります。

実際に公正証書遺言として作成された遺言では、「すべての財産は配偶者に相続させる」との内容だそうです。このような内容の遺言書ですと、同時死亡の場合を含めて、後に亡くなった方の遺言書では効力がなくなり(配偶者が先に亡くなっているため受遺者がいない)、残された方の兄弟姉妹が相続し、それらの者の分割協議になってしまいます。

つまり、先に亡くなった方の場合には先に亡くなった者の遺言が活き、配偶者に財産が渡りますが、次に亡くなった方の場合には配偶者が亡くなっているため、遺言書の効力がないことになります。

結果的にご夫婦の残った財産は後になくなった配偶者の側の兄弟姉妹にわたってしまうことになります。

相続人が兄弟姉妹の場合には遺留分がないため、遺言すれば100%その通りに財産がいきます。残された配偶者が相手方の兄弟姉妹と分割協議を行うのも面倒ですし、子がいない夫婦の場合には必ず遺言しておくことです。

さらに、夫婦とも亡くなった後のことも考慮して夫婦の財産を誰に引き継がせるかも指定しておきます。

このご夫婦の場合には、ご主人の弟さん、もしくは、その子2人に財産を上げたいとの意向でしたので、そのように遺言書を作成しておくことです。

その例を次に書いてみます。

 

※夫の遺言書例(カッコ内は妻の遺言書例)

私のすべての財産は妻(もしくは夫)○○に相続させる。

もし、妻(もしくは夫)○○が亡くなっていた場合には、すべての財産を夫の兄弟である○〇(その者が亡くなっていた場合にはその子2人に均等)に相続(又は遺贈)させる。

 

とこのように作成しておきます。

 

広大地評価の廃止(改正)の影響(2018/06/10)

平成30年から広い敷地の評価で適用された広大地の評価方法がなくなり、その代わりに新たに地積規模の大きな宅地の評価が生まれました。

 従前の広大地の評価ですと、開発許可に必要な面積を有する土地で、かつ、マンション適地ではなく、しかも、道路等の公益公共的施設を設ける必要があれば、評価が半分になるような影響の大きな評価方法でした。

ただし、広大地に該当するかどうかの判断は税理士には難しく、不動産鑑定士や建築の専門家の協力がないと判断が下せないという代物で、例えば、その評価すべき土地と同じ用途地域で建ぺい率、容積率を持った地域を視察し、また、役所で過去の開発申請の記録簿を閲覧して、戸建て住宅の申請がどのぐらいあるか調べたりしたものでした。

ところが、平成30年からこの広大地の評価に代わって、「地積規模の大きな宅地の評価」ができました。

この「地積規模の大きな宅地の評価」は広大地の評価と異なり、評価の基準が明確で、三大都市圏においては500㎡以上が対象で、東京都の特別区で容積率300%未満、それ以外の地域で400%未満が対象とされ、路線価地域では普通商業・併用地区及び普通住宅地域において適用されることとなりました。この要件に該当すれば今までの評価額が2割から3割ダウンすることになります。

いままで500㎡以上ある土地で広大地となるかどうか不明で、広大地として減額して評価されていなかった土地が、先ほどの要件に該当すれば、軒並み23割評価をダウンさせることができました。

予想もしなかったことですが、この改正によって、土地の評価が明らかに減少し、相続税の概算額が減少したという結果に、少々驚きを覚えたというのが正直な感想です。

 

 

相続税の申告は必要だが、相続税は出ない.(2018/05/27)

先日、ご姉弟が相談に来られました。この3月にお母さんが亡くなり相続税がかかるのではとご心配の様子です。

相続人はお2人だけなので、基礎控除額は4,200万円。それに対してお母さんの財産は、金融資産が1,000万円ですが、所有されているご自宅の土地の面積が約80坪で4,000万円となり、合せると5,000万円で基礎控除額を超えます。

これらの財産で計算すると、控除額を800万円上回って、相続税が10%の80万円ほど見込まれます。

その上で、お2人にお母さんと同居されているか、あるいは、マイホームをお持ちでいらっしゃるかお尋ねすると、母は一人住まいで、お二人は各々賃貸にお住まいとのことでした。そこで「お二人のいずれかがその自宅の敷地を相続しても、相続税では自宅の土地の評価の減額制度があって、4,000万円の土地の評価がその2割の800万円になること」や「そうなれば、金融資産と合せても、1,800万円ほどで他に特に財産がなければ、相続税はかからない」と申し上げました。お二人とも本当に税金がかからないのかと不安げでありましたが、補足説明(配偶者や同居の親族がいず、非同居の相続人等が賃貸でお住まいとなると330㎡までの土地の評価について8割減額される「小規模宅地の減額の特例」制度の適用されること。平成304月以降の相続から適用要件が一部改正された。)をさせていただいてようやく相続税がかからないということに一安心されました。ただし、「この規定の適用を受ける旨の相続税の申告書を税務署に提出することで、結果、相続税がからなくなるということなので、申告だけは忘れないでください。」と申し上げる。

申告をすれども相続税はかからないということはこのようなケースの場合(自宅の土地について小規模宅地の特例制度を使うこと)でよく有ることです。ですから、自宅の土地の評価が高くても、金融資産等の他の財産がさほどでなければ、相続税がかからないということがしばしば起こり得ます。

配偶者への自宅の贈与の節税効果(2018/04/25)

前回に続き、自宅の贈与について述べます。

現在、婚姻期間20年以上の夫婦における自宅の土地建物の贈与に関し、評価額で2,000万円までは無税となっています。

この適用を受けようとされる方の大半は相続税も安くなると思って贈与されますが、すべての方がそのとおりあてはまるものではないと思います。

普通に考えれば配偶者に自宅の土地や建物といった財産を移すことで本人の財産が2,000万円ほど減少し、本人に係る相続税が節税できます。確かにそのとおりです。

ただし、次のように考慮すべき点があります。

一つは配偶者の財産が増加することです。

本人の財産が多い場合は、通常、配偶者税額軽減制度を利用して配偶者にも財産を持たせ節税することが多いのですが、一方で、配偶者の財産として将来課税されることになり、本人で節税できても、配偶者の方で相続税が課されることになります。

もう一つは自宅の土地が対象となる小規模宅地の減額制度があることです。

相続税では本人の居住していた自宅の土地については、配偶者が相続すれば、330㎡まで20%に評価が減額される特例があります。もし、自宅の敷地が330㎡(約100坪)までであれば贈与しなくても、そもそも2割の評価で相続税が計算できます。

それでも、贈与しておいて経済的に損がなければよいのではと思われるかもしれませんが、贈与すれば不動産に係る登録免許税が相続の場合よりも高く、不動産取得税も掛かります。つまり、相続より贈与の方が費用が掛かるということで、結果的に相続税の節税を加味しても経済的に得しないというケースもあるからです。

この両方の点で、配偶者への贈与がすべからく得と言い切れないこともあります。

 

配偶者への自宅の贈与や遺贈(民法の改正と税制)(2018/04/07)

昨今、民法の改正を検討している法制審議会で取り上げられているもの一つに、配偶者の自宅に住む権利「配偶者居住権」があります。

自宅を婚姻期間が20年以上の配偶者へ生前に贈与した場合や遺言で遺贈した場合には、これを相続時に相続財産に加算する特別受益に含めないとするものです。本来、特別受益(過去の主要な贈与や遺贈)は相続財産に加えることで相続人の財産のバランスを保とうとするものですが、長年連れ添った夫婦間での自宅の贈与や遺贈がある場合にはその対象から外し、配偶者の相続分を減らさずに配偶者の財産の取り分を確保させようというものです。

この民法の改正が行われますと、それに合わせて相続税においても、配偶者に遺贈された自宅の土地や建物については、課税されない方向で改正されるものと思われます。

現在、相続税では、配偶者の同一世代間での相続税の二重課税の防止のために、配偶者が取得した財産額(課税価格の合計額、以下同じ)が法定相続分(法定相続人が配偶者と子であれば、2分の1)までか、もしくは、財産額が16,000万円までは課税されないこと(これを「配偶者の税額軽減制度」といいます)になっています。

この配偶者の税額軽減制度に遺贈された自宅の土地建物が加わって、「法定相続分+遺贈された自宅の土地建物」か、または、「財産額16,000万円+遺贈された自宅の土地建物」までは課税されないというようになって、配偶者の無税の取り分が多くなるのではないかと思われます。

 

 

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