相続税について

相続税を納める人の範囲や財産の範囲

1.相続税の納税義務を負う個人

相続又は遺贈(注1)により財産を取得した者で、相続の際に日本に住所を有する個人は、相続税を納税する義務があります。

ただし、日本国内で住所を有しない者などで次のような要件に該当する者も相続税の納税義務があります。
(1)無制限納税義務者
①日本国籍を有する個人でその財産を取得した時において日本に住所を有しないもので、その個人又はその被相続人がその相続又は遺贈に係る相続の開始前10年以内に日本に住所を有していたことがある者
②日本国籍を有しない個人でその財産を取得した時において日本に住所を有しないもので、その被相続人がその相続又は遺贈に係る相続の開始前10年以内に日本に住所を有していたことがある者
ただし、上記①②のうち、被相続人が相続の開始前10年以内に日本に住所を有していたことがある者であっても、一時居住被相続人や非居住被相続人である場合は除かれます。

(2)制限納税義務者・・・その財産を取得した時において日本に住所を有しないもの((1)に掲げる者を除く)で日本にある財産を取得した個人。

(3)特定納税義務者・・・贈与により相続時精算課税適用財産(注2)を取得した個人((1)または(2)に掲げる者を除く)

2.相続税の課税財産の範囲

写真:自然のイメージ

その者が相続又は遺贈により取得した全部の財産に対して相続税を課します。相続税がかかる財産は金銭に見積もることのできる経済的価値のあるものすべてが対象となります。

ただし、次の者については、各々に定める財産について相続税が課されます。

(1)制限納税義務者の場合・・・その者が相続又は遺贈により取得した財産で日本にあるものに対し、相続税を課します。

(2)特定納税義務者の場合・・・その者が特定贈与者から贈与により取得した「相続時精算課税」適用財産でその特定贈与者から相続(その者がその特定贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈)により取得したものとみなされたものに対し、相続税を課します。

(注1)「遺贈」は、遺言のことですが、死因贈与(死亡を原因として効力の発生する贈与)を含みます。以下の設問も同様です。
(注2)「相続時精算課税適用財産」とは、贈与者の直系卑属である推定相続人のうちその贈与年1月1日において20歳以上である者で「相続時精算課税」を選択したものに適用される贈与財産をいいます。

みなし相続財産

写真:自然のイメージ

被相続人の財産ではありませんが、実質的に相続や遺贈によって財産を取得したことと同様と認められるものについて、相続税法では課税の公平を図るため、その受けた利益などを相続又は遺贈によって取得したものとみなします。これを「みなし相続財産」と呼んでいます。

この「みなし相続財産」には、次のような7つの種類のものがあります。

①生命保険金
被相続人の死亡に伴う生命保険契約や、偶然の事故に基因して支払われる損害保険契約の保険金で、その保険金のうち、被相続人が負担した保険料に対応する部分の保険金

②退職手当金・功労金
被相続人の死亡により支払われた退職手当金や功労金等で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの

③生命保険契約に関する権利
相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約でその保険料の一部を被相続人が負担しており、かつ、被相続人以外の者がその契約者である場合の生命保険契約に関する権利のうち、被相続人が負担した保険料に相当する部分

④定期金に関する権利
省略

⑤保証期間付定期金に関する権利
省略

⑥契約に基づかない定期金に関する権利
省略

⑦その他、被相続人の遺言による経済的利益等
イ、信託行為や信託に係る受益者の変更等があった場合の信託
ロ、著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合の利益
ハ、対価を支払わないで又は著しく低い対価で債務の免除、引受け又は第3者による債務の弁済を受けた場合の利益
ニ、上記のイからハまでの他、対価を支払わないで又は著しく低い価額の対価で経済的利益を受けた場合の利益

生命保険金

1.趣旨

被相続人の所有していた相続財産ではないですが、相続が発生したことにより相続人等に支給される財産であることや、課税の公平の見地から、相続又は遺贈による財産とみなして相続税の対象となっています。

2.相続又は遺贈により取得したものとみなす場合

被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約の保険金又は損害保険契約の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴うものに限ります)を取得した場合においては、その保険金受取人について、その保険金のうち次の算式により計算した金額に相当する部分を相続又は遺贈により取得したものとみなします。

《算式》

図:その保険金の額×	被相続人が負担した保険料の金額 被相続人の死亡の時までに払い込まれた保険料の全額

3.非課税金額

相続人の取得した生命保険金については、1人あたり500万円の非課税枠があります。相続人の受け取った生命保険金の合計額が非課税枠の金額の範囲内であるか、超えるかにより非課税金額の計算が異なります。
この非課税金額の適用にあたっては、相続人に相続を放棄した者及び相続権を失った者を含みません。

(1)被相続人のすべての相続人が取得した保険金の合計額が「保険金の非課税限度額」(500万円にその被相続人の法定相続人の数(注1)を乗じて算出した金額)以下である場合

その相続人の取得した保険金の金額

(2)(1)の合計額がその保険金の非課税限度額を超える場合
次の算式により計算した金額

《算式》

図:保険金の非課税金額×	その相続人の取得した保険金の合計額 (1)の合計額

(注1)「法定相続人の数」とは、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数とし、被相続人の養子については一定の算入制限の規定を適用した後の数をいいます。

死亡後の退職手当金

1.趣旨

被相続人の所有していた相続財産ではないですが、相続が発生したことにより相続人等に支給される財産であること、生前の退職金とのバランスや課税の公平の見地から、相続又は遺贈による財産とみなして相続税の対象となっています。

2.相続又は遺贈により取得したものとみなす場合

被相続人の死亡により、相続人その他の者がその被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金等(以下、「退職手当金等」といいます)で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては、その退職手当金等の支給を受けた者について、その退職手当金等を相続又は遺贈により取得したものとみなします。

3.非課税金額

相続人の取得した2の退職手当金等については、1人あたり500万円の非課税枠があります。相続人の受け取った生命保険金の合計額が非課税枠の金額の範囲内であるか、超えるかにより非課税金額が異なります。この非課税金額の適用にあたっては、相続人に相続を放棄した者及び相続権を失った者を含みません。

(1)被相続人のすべての相続人が取得した退職手当金等の合計額が「退職手当金等の非課税限度額」(500万円にその被相続人の法定相続人の数(注2)を乗じて算出した金額)以下である場合

その相続人の取得した保険金の金額

(2)(1)の合計額がその退職手当金等の非課税限度額を超える場合
次の算式により計算した金額

《算式》

図:退職手当金等の非課税限度額×	その相続人の取得した退職手当金等の合計額 (1)の合計額

(注1)「法定相続人の数」とは、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数とし、被相続人の養子については一定の算入制限の規定を適用した後の数をいいます。

相続税の非課税財産

1.趣旨

非課税財産は、財産の性質や社会政策上の見地から、あるいは国民感情等を考慮し相続税の課税対象としないものです。

2.非課税財産

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次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しません。

(1)皇室経済法の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物
(2)墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
(3)宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で一定のものが相続又は遺贈により取得した財産でその公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
(ただし、その財産を取得した日から2年を経過した日において、なおその財産をその公益を目的とする事業の用に供していない場合においては、その財産の価額は、相続税の課税価格に算入します。)
(4)条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する一定の共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
(5)相続人(注1)が相続により取得したものとみなされた生命保険金で法定相続人1人あたり500万円として計算された金額
(6)相続人が相続により取得したものとみなされた退職手当金等で法定相続人1人あたり500万円として計算された金額

(注1)相続人とは、相続を放棄した者及び相続権を失った者を含みません。

相続財産から控除できる債務控除

1.趣旨

相続税は正味の財産に対して課税しますので、被相続人から権利義務を承継する相続人等について、被相続人の債務を控除することができます。
また、被相続人の葬式費用は、被相続人の債務ではないですが、死亡に伴い必然的に発生する費用ですので控除を認めています。

2.債務控除の適用対象者及びその債務の範囲

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(1)原則
相続又は遺贈(相続人でない者に対する特定遺贈は除かれます。以下この問いに同じ)により財産を取得した者は、課税価格から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除します。
 ①被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの・・・借入金や未払金等の債務、固定資産税や住民税等の税金が含まれます。
 ②被相続人に係る葬式費用・・・仮通夜、葬式費用が該当し、それらに関わる食費等の費用も含まれます。

(2)制限納税義務者等の場合
相続又は遺贈により財産を取得した者が制限納税義務者(注2)又は日本に住所を有さない特定納税義務者(注3)である場合においては、次のものに限定され、課税価格から被相続人の債務で次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除します。
 ①その財産に係る公租公課
 ②その財産を目的とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権で担保される債務
 ③①、②に掲げる債務を除くほか、その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務
 ④その財産に関する贈与の義務
 ⑤①から④に掲げる債務を除くほか、被相続人が死亡の際、日本に営業所
 又は事業所を有していた場合においては、その営業所又は事業所に係る営業
 上又は事業上の債務

3.控除が認められる債務や公租公課

控除すべき債務は、確実と認められるものに限られます。また、控除すべき公租公課の金額は、被相続人の死亡の際納税義務が確定しているものの金額のほか、被相続人の死亡後相続税の納税義務者が納付し、又は徴収されることとなった被相続人に係る所得税額等が該当します。
一方、香典が相続人の受けるものとして相続財産としないことと関連して香典返しも債務控除の葬式費用としません。

(注1)「包括遺贈」とは相続財産の一定割合(何分の1とか、分数的割合)を遺言で贈与することをいいます。
(注2)「制限納税義務者」とはその財産を取得した時において日本に住所を有しないもので日本にある財産を取得した個人をいいます。
(注3)「特定納税義務者」とは、贈与により相続時精算課税適用財産を取得した個人をいいます。

相続税は、どのようにして計算

1.趣旨

相続税の課税方式は、相続人の取得した相続財産に対して課税する課税方式(これを「遺産取得税方式」といいます)を基本としながらも、被相続人の財産そのものに課税する課税方式(これを「遺産税方式」といいます)をとりいれています。
被相続人のすべての財産を法定相続分で按分して相続税の総額を計算し、それを相続人等の実際に取得した財産の割合で按分して各人の税額を算出しています。具体的には次のように計算されます。

2.相続税の税額の算出

(1)課税価格の合計額
相続税は、同じ被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続財産(生命保険金等の「みなし相続財産」も加えます)により課税価格を算出します。
この相続税の課税価格には、さらに「相続の開始前3年以内の贈与財産(注1)」及び「相続時精算課税適用財産(注2)」の価額を課税価格に加算します。

(2)課税遺産総額に対する相続税の総額の算出
相続税の課税価格の合計額から基礎控除額(3,000万円+600万円×その被相続人の法定相続人の数)を控除します。控除の金額が"0"以下になれば相続税はでません。
基礎控除後の金額に対し、その被相続人の法定相続人が法定相続分の規定により財産を取得したものと仮定した場合におけるその各取得金額につき、それぞれ相続税の超過累進税率を乗じて計算した金額を合計します。

(3)各人の相続税額の計算
その相続税の総額を各相続人等が実際に取得した課税価格に応じて按分して、各人に係る相続税額を算出します。

(4)各人に係る税額控除
各人の相続税額が計算されたのち、一定の者に対する税額加算(2割加算)と税額控除(配偶者の税額軽減、贈与税額控除、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、在外財産に対する控除)が行われ、さらに3年以内の贈与財産に係る贈与税額や相続時精算課税贈与財産に係る贈与税額を控除した残りの税額が各人の相続税額となります。

(注1)「相続の開始前3年以内の贈与財産」とは、相続又は遺贈により財産を取得した者で、相続の開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた場合のその贈与財産をいいます。
(注2)「相続時精算課税適用財産」とは、贈与者の直系卑属である推定相続人のうちその贈与年1月1日において20歳以上である者で「相続時精算課税」を選択したものに適用される贈与財産をいいます。

法定相続人の数と養子

1.法定相続人の数

写真:自然のイメージ

相続税法上の法定相続人の数は、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数とします。
また、その被相続人に養子がある場合の、その法定相続人の数に算入するその被相続人の養子の数は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに定める養子の数に限るものとします。
①その被相続人に実子がある場合…1人
②その被相続人に実子がいない場合…2人

2.実子とみなされる者

1の規定の適用については、次に掲げる者は実子とみなします。
 ①民法に規定する特別養子縁組による養子となった者やその被相続人の配偶者の実子でその被相続人の養子となった者その他これらに準ずる者
 ②実子もしくは養子又はその直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は欠格、廃除により相続権を失ったため、法定相続人となったその者の直系卑属

3.法定相続人の数に算入される養子の数の否認

1の場合においてそれぞれに定める養子の数を1の法定相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には養子の数として認められないことがありますので、注意が必要です。

小規模宅地の評価減の制度

1.趣旨

この制度は、相続人が相続税の納税のために事業用地や自宅の敷地を手放さなければならなくなると生活に支障がでるため、納税者の選択により一定の評価減ができるように制度化されています。

2.内容

相続又は遺贈によって取得した財産のうち、次のような敷地の用に供されていた場合で、相続人等が取得したこれらの宅地等のうち、次の3に掲げる限度面積までの部分について、評価額の計算は、4の表に掲げる割合を乗じて計算した金額をします。

  • 被相続人等の事業の用に供されていた宅地等で建物や構築物の敷地
  • 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で建物や構築物の敷地
  • 国の事業の用に供されている宅地等で建物の敷地

3.対象となる限度面積

(1)そのすべてが特定事業用宅地等、国営事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等(以下、「特定事業用等宅地等」といいます)である場合(「特定事業用等宅地等」の内容は次の「小規模宅地の評価減の適用対象宅地」を参照ください。
→ その面積の合計が400㎡以下であること
(2)そのすべてが特定居住用宅地等である場合
→ その面積の合計が330㎡以下であること
(3)そのすべてが特定事業用等宅地等以外の特例対象宅地等(「特定特例対象宅地等」といいます。)である場合
→ その面積の合計が200㎡以下であること
(4)そのすべてが特定事業用等宅地等と特定特例対象宅地等である場合(上記(1)から(3)を除きます)
→ 次の①と②に掲げる面積の合計が400㎡以下であること
①特定事業用宅地等の面積の合計
②特定特例対象宅地等の面積の合計に2を乗じて得た面積

そのすべてが特定居住用宅地等と特例対象宅地等である場合(上記(1)から(3)を除きます)
→ 次の①と②に掲げる面積の合計が330㎡以下であること
①特定居住用宅地等の面積の合計
②特定特例対象宅地等の面積の合計に1.65を乗じて得た面積

なお、宅地の適用する宅地が特定事業用宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能となりました。

4.評価減の割合

宅地の内容評価減の割合
特定事業用等宅地等、特定居住用宅地等100分の80
上記以外の特例対象宅地等100分の50

5.手続き

相続税の申告書にこの適用を受ける旨の記載及び計算に関する明細書の添付等がある場合に限り適用されます。ただし、相続税の申告期限までに分割がされていない場合には、適用がされません。この場合には、申告期限から3年以内(3年以内に分割できないことについてやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、分割されることとなった日として定めた一定の日から4か月以内に分割されたとき)に分割された場合に適用されることとなっています。

小規模宅地の評価減の適用対象宅地

特定事業用等宅地等の意味

小規模宅地の評価減の対象となる「特定事業用宅地等」他について説明します。

(1)特定事業用宅地等
被相続人等の事業(不動産貸付業その他駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除く。以下(2)及び(3)において同じ。)の用に供されていた宅地等で、その相続又は遺贈によりその宅地等を取得した個人のうちに、次に掲げる要件のいずれかを満たすその被相続人の親族がいる場合のその宅地等をいいます。
①その親族が、相続開始時から相続税の申告書の提出期限までの間にその宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その事業を営んでいること。
②その親族がその被相続人と生計を一にしていた者であって、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の事業の用に供していること。

写真:自然のイメージ

(2)特定居住用宅地等

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、その相続又は遺贈によりその宅地等を取得した個人のうちに、その被相続人の配偶者又は次に掲げる要件のいずれかを満たすその被相続人の親族(その被相続人の配偶者を除く。以下(2)において同じ)がいる場合のその宅地等をいいます。

①その親族が相続開始の直前においてその宅地等の上に存するその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた者であって、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その家屋に居住していること。
②その親族(その被相続人の居住の用に供されていた宅地等を取得した者に限る)が相続開始前3年以内に法施行地内にあるその者又はその者の配偶者又は3親等以内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内の家屋(その相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがない者(制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者を除く)であり、かつ、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を有していること(その被相続人の配偶者又は相続開始の直前において①に規定する家屋に居住していた親族でその被相続人の法定相続人がいない場合に限る)。ただし、相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していた者を除きます。
③その親族がその被相続人と生計をーにしていた者であって、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の居住の用に供していること。

(3)特定同族会社事業用宅地等
相続開始直前に被相続人及びその被相続人の親族その他その被相続人と特別の関係がある者が有する株式の総数又は出資の総額がその株式又は出資に係る法人の発行済株式の総数又は出資の総額の10分の5を超える法人の事業の用に供されていた宅地等で、その相続又は遺贈によりその宅地等を取得した個人のうちにその被相続人の親族(申告期限において、その法人の役員である者に限る)がおり、その宅地等を取得したその親族が相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、申告期限まで引き続きその法人の事業の用に供されている場合のその宅地等をいいます。

(4)特定特例対象宅地等
被相続人等の事業のように供されていた宅地等のうち、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う準事業をいいます。

相続税額の2割加算

1.趣旨

子や配偶者以外の者が被相続人の遺産を取得することは偶然であったり、もしくは税を負担する能力があります。また、被相続人が財産を孫に遺贈したような場合には、それによりその財産についての相続税の課税を1回免れる結果となりますので、この規定が設けられています。

2.内容

写真:自然のイメージ

相続又は遺贈により財産を取得した者が次の者以外の者であるときは、その者に係る相続税額は、算出相続税額にその20%に相当する金額を加算した金額とします。

①その被相続人の配偶者
②その被相続人の一親等の血族(被相続人の直系卑属がその被相続人の養子となっている場合を除きます)
③その被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったことによる代襲相続人

配偶者に対する税額軽減は

1.趣旨

配偶者が財産を取得した場合には、配偶者の生活保障のため、同一世代間の財産の移転であるという点、さらに次の相続開始の時期が近いことなどを考慮して、軽減制度が設けられています。

2.内容

被相続人の配偶者がその被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、その配偶者については、(1)に掲げる金額を控除した残額をその納付すべき相続税額とします。

(1)次の算式により算出した金額

図:相続税の総額×	次の①または②に掲げる金額のうちいずれか少ない金額 相続税の課税価格(注1)の合計額

①相続税の課税価格の合計額にその配偶者の法定相続分を乗じて得た金額に相当する金額(その金額が1億6,000万円に満たない場合には、1億6,000万円)
②その相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額

3.遺産が未分割である場合

相続税の期限内申告書の提出期限までに、その相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていない場合における2の規定の適用については、その分割されていない財産は2(1)①の課税価格の計算の基礎とされる財産に含まれないものとします。

ただし、その分割されていない財産が申告期限から3年以内(一定のやむを得ない事情がある場合において、税務署長の承認を受けたときは、その財産の分割ができることとなった日の翌日から4月以内)に分割された場合には、その分割された財産については、適用することができます。

(注1)「課税価格」とは、相続の開始前3年以内の贈与財産及び相続時精算課税適用財産がある場合には、その財産の価額を相続税の課税価格に加算した後の相続税の課税価格とみなされた金額をいいます。

未成年者控除の範囲と金額

1.趣旨

相続又は遺贈により財産を取得した者が20歳未満の者である場合には、養育費の負担があることや社会福祉の観点から、この規定が設けられています。

2.内容

写真:自然のイメージ

相続又は遺贈により財産を取得した者(制限納税義務者(注1)を除く)がその相続又は遺贈に係る被相続人の法定相続人に該当し、かつ、20歳未満の者である場合においては、その者については、算出相続税額から次の算式で計算した控除額を控除した金額をもって、その納付すべき相続税額とします。

《算式》
10万円×その者が20歳に達するまでの年数
(その年数が1年未満であるとき又は1年未満の端数があるときは、これを1年とします。)

3.扶養義務者から控除する場合

(1)2の規定により控除を受けることができる金額がその控除を受ける者についての相続税額を超える場合においては、その超える部分の金額は、その控除を受ける者の扶養義務者の算出相続税額から控除し、その控除後の金額をもって、その扶養義務者の納付すべき相続税額とします。
(2)(1)の適用を受けることができる扶養義務者が2人以上ある場合においては、各扶養義務者が控除を受けることができる金額は、協議または各人の税額により按分して計算した金額を控除します。

4.既に控除を受けている場合

2の規定に該当する者がその者又はその扶養義務者について既に2、3の規定による控除を受けたことがある者である場合においては、その控除を受けた金額を除きます。

(注1)「制限納税義務者」とは、相続又は遺贈により法施行地にある財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有しないものをいいます。

障害者控除の範囲と金額

1.趣旨

相続又は遺贈により財産を取得した者が障害者である場合には、その者の生活保障のためや社会福祉の観点から、この規定が設けられています。

2.内容

写真:手のイメージ

相続又は遺贈により財産を取得した者(注1)がその相続又は遺贈に係る被相続人の法定相続人に該当しかつ、障害者である場合には、その者については、算出相続税額から未成年者控除までの規定を適用した後の金額)から次の算式で計算した控除額を控除した金額をもって、その納付すべき相続税額とします。

《算式》
10万円(その者が特別障害者である場合には20万円)×その者が70歳に達するまでの年数
(その年数が1年未満であるとき又は1年未満の端数があるときは、これを1年とする)

3.障害者の意義

2に規定する「障害者」とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で一定のものをいい、「特別障害者」とは、障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で一定のものをいいます。

4.扶養義務者から控除する場合

(1)2の規定により控除を受けることができる金額がその控除を受ける者について相続税額を超える場合においては、その超える部分の金額は、その控除を受ける者の扶養義務者の算出相続税額から控除し、その控除後の金額をもって、その扶養義務者の納付すべき相続税額とする。

(2)(1)の適用を受けることができる扶養義務者が2人以上ある場合においては、各扶養義務者が控除を受けることができる金額は、協議または各人の税額により按分して計算した金額を控除します。

5.既に控除を受けている場合

2の規定に該当する者がその者又はその扶養義務者について既に2、3の規定による控除を受けたことがある者である場合においては、その控除を受けた金額を除きます。

(注1)この場合の相続又は遺贈により財産を取得した者とは居住無制限納税義務者又は日本に住所を有する特定納税義務者をいいます。

相続税の申告の要件や期限

1.相続税法の期限内申告

写真:手帳と植物のイメージ

相続又は遺贈により財産を取得した者及びその被相続人からの相続時精算課税適用財産に係る贈与を受けた相続時精算課税適用者が納税義務者になります。
その被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格に係る相続税額(配偶者に対する相続税額の軽減の規定の適用がないものとして計算した金額)があるときに申告します。

申告期限はその相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内で、課税価格、相続税額その他一定の事項を記載した期限内申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

2.還付を受けるための申告

相続時精算課税適用者は相続により期限内申告書を提出すべき場合のほか、相続時精算課税のみで精算課税に係る贈与税額の還付を受けるため、相続時精算課税適用財産に係る相続税の課税価格、還付を受ける税額その他一定の事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出することができます。
なお、この規定は、相続税の申告書が提出された場合に限り適用します。

3.明細書の添付等

(1)明細書の添付
1又は2の規定により申告書を提出する場合には、その申告書に財産及び債務、その被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者がこれらの事由により取得した財産又は承継した債務の各人ごとの明細その他一定の事項を記載した明細書その他一定の書類を添付しなければなりません。

(2)申告書の共同提出
同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者又はその者の相続人で1又は2の規定により申告書を提出すべきものは、その申告書の提出先の税務署長が同一であるときは、これらの者は、その申告書を共同して提出することができます。

4.納付

期限内申告書を提出した者は、その申告書の提出期限までに、その申告書に記載した相続税額に相当する相続税を国に納付しなければなりません。

(注1)「相続時精算課税適用者」とは、贈与者の直系卑属である推定相続人のうちその贈与年1月1日において20歳以上である者で「相続時精算課税選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出したものをいいます。

延納する場合の要件

1.趣旨

相続税は金銭一時納付を原則としますが、相続財産が金融資産に限らないため、金銭で一時に納付することが困難とされる場合も考えられます。したがって、納付の特例として一定の要件のもとに年々の支払い(年賦延納)が認められています。

2.適用要件等

(1)適用要件
相続税の申告書の提出により又は相続税について更正もしくは決定を受けたことにより納付すべき相続税額が10万円を超え、かつ、納期限までに、又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額として一定の額を限度として、年賦延納の許可を受けることができます。

(2)担保の提供
(1)の規定による延納の許可をする場合には、その延納税額に相当する担保を提供しなければなりません。ただし、その延納税額が50万円未満で、かつ、その延納期間が3年以下である場合は必要ありません。

3.申請手続き

写真:申請しているイメージ

延納の許可を申請しようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書に担保提供関係書類を添付し、その納期限までに、又は納付すべき日に、これを納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

 イ 納期限までに、又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする金額及びその困難とする理由
 ロ 延納を求めようとする税額及び期間
 ハ 分納税額及びその納期限
 ニ その他一定の事項

延納する場合の期間と利子

延納の許可を受けた者は、分納税額を納付する場合に、次の区分に応じた延納期間を上限としてそれぞれに定める利子税を合わせて収めなければなりません。

区分 延納期間 利子税の割合

不動産等の占める

割合が75%以上の場合

動産等に係る延納相続税額 10年 年5.4%
不動産等に係る延納相続税額 20年 年3.6%

計画伐採立木の割合が20%以上の場合の

計画伐採立木に係る延納相続税額

20年 年1.2%

不動産等の占める

割合が50%以上75%未満の場合

動産等に係る延納相続税額 10年 年5.4%
不動産等に係る延納相続税額 15年 年3.6%

計画伐採立木の割合が20%以上の場合の

計画伐採立木に係る延納相続税額

20年 年1.2%

不動産等の占める

割合が50%未満の場合

一般の延納相続税額 5年 年6.0%
立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額 5年 年4.8%
特別緑地保全地区等内の土地に係るの延納相続税額 5年 年4.2%

計画伐採立木の割合が20%以上の場合の

計画伐採立木に係る延納相続税額

5年 年1.2%

ただし、平成12年1月1日以降の期間に対応する利子税の割合について延納特例基準割合(銀行の新規の短期貸出約定平均金利の割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合)が年7.3%に満たない場合には、次の算式により計算した割合によります。

《算式》

図:上記の表の利子税の割合 ×	 延納特例基準割合 7.3%

不動産等の価額とは、相続又は遺贈により取得した財産のうち次に掲げるものの価額の合計額をいいます。
 ①不動産
 ②不動産の上に存する権利
 ③立木
 ④事業用の減価償却資産
 ⑤特定同族会社の発行する株式又はその会社に対する出資

物納とは

1.趣旨

相続税は金銭で一時に納付することを原則としますが、取得した財産の性格上、その課された相続税を一時に金銭で納付することや年賦延納で納付することが困難な場合が考えられます。このような場合に納付の特例として一定の要件のもとに物納が認められています。

2.適用要件等

写真:街のイメージ

①適用要件
納付すべき相続税額を延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額として一定の額を限度として、物納の許可を受けることができます。
この場合において、物納財産の性質、形状、その他の特徴によりその一定の額を超える価額の物納財産を収納することについて、税務署長においてやむを得ない事情があると認めるときは、その一定の額を超えて物納の許可をすることができます。

②物納に充てることができる財産
物納に充てることができる財産は、納税義務者の課税価格計算の基礎となった財産(ただし、「相続時精算課税適用財産」を除きます)で日本にあるもののうち次に掲げるもの(「管理処分不適格財産」を除きます)とします。
第一順位 不動産、国債、地方債、上場株式等
第二順位 非上場株式等
第三順位 動産

3.手続

物納の許可を申請しようとする者は、その物納を求めようとする相続税の納期限までに、又は納付すべき日に、次に掲げる事項を記載した申請書に物納手続関係書類を添付し、これを納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
(イ)金銭で納付することを困難とする金額及びその困難とする事由
(ロ)物納を求めようとする税額
(ハ)物納に充てようとする財産の種類及び価額
(ニ)その他一定の事項

物納の許可や収納価額

1.許可又は却下

税務署長は物納申請書の提出があった場合においては、その申請者及びその申請に係る事項について物納の要件に該当するか否かの調査を行い、その調査に基づき、その申請書の提出期限の翌日から起算して原則3月以内にその申請に係る税額の全部又は一部について物納財産ごとにその申請に係る物納の許可をし、又はその申請の却下を書面により通知します。

2.物納財産の収納

①収納価額
物納財産の収納価額は、課税価格計算の基礎となったその財産の価額によります。ただし、税務署長は、収納の時までにその財産の状況に著しい変化が生じたときは、収納の時の現況によりその財産の収納価額を定めることができます。

②納付時期
物納の許可を受けた税額に相当する相続税は、物納財産の引渡し、所有権の移転の登記その他法令により第三者に対抗することができる要件を充足した時において、納付があったものとします。

③過誤納額
物納の許可を受けて相続税を納付した場合において、その相続税について過誤納額があったときは、その物納に充てた財産は、納税義務者の申請により、過誤納額の還付に充てることができます。
ただし、その財産が換価されていたとき、公用又は公共の用に供されており、又は供されることが確実であると見込まれるときその他一定の場合は、この限りではありません。

3.利子税

写真:電卓のイメージ

物納の許可を受けた者は、その物納に係る相続税額の納期限又は納付すべき日の翌日から納付があったものとされた日までの期間につき、その相続税額を基礎とし、その期間に応じ、-定の割合を乗じて計算した金額に相当する利子税を納付しなければなりません。
ただし、審査事務に要する期間についての利子税は免除されます。

相続時精算課税

1.概要

贈与を受けた場合には、贈与税が課されますが、従前からの110万円の控除がある暦年課税に加えて、新たに相続時精算課税(平成15年新設)による贈与の適用を選択することができます。
この制度は、贈与時に贈与により取得した財産に対し、相続時精算課税による贈与税(2,500万円まで非課税)を支払い、将来の相続時に精算するものです。
相続時精算課税による贈与を選択した場合には、その贈与により取得した財産の価額と相続又は遺贈により取得した財産の価額とを合計した価額を課税価格として計算した相続税額から、既に納付した相続時精算課税における贈与税に相当する金額を控除した額をもって納付すべき相続税額とします。

2.適用対象者

贈与により財産を取得した者がその贈与者の20歳以上の直系卑属である推定相続人又は孫で、かつ、その贈与者が同日において60歳以上の者である場合には、その贈与に係る財産について、相続時精算課税の規定の適用を受けることができます。

3.相続時精算課税選択届出書の提出

写真:握手のイメージ

この規定の適用を受けようとする者は、この規定の適用を受けようとする贈与の申告期限(翌年の3月15日)までに贈与者ごとに、この規定の適用を受けようとする旨その他一定の事項を記載した相続時精算課税選択届出書を贈与税の期限内申告書に添付して納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

4.相続時精算課税選択届出書の効力

①相続時精算課税選択届出書に係る贈与者からの贈与により取得する財産については、その届出書に係る年分以後、この規定による贈与税額を計算します。

②その年1月1日において20歳以上の者が同日において60歳以上の者からの贈与により財産を取得した場合にその年の中途においてその者の養子となったことその他の事由によりその者の推定相続人となったとき(配偶者となったときを除く。)には、推定相続人となった時より前にその者からの贈与により取得した財産については、この規定の適用はないものとします。

③相続時精算課税適用者が、その届出書に係る贈与者(以下「特定贈与者」といいます。)の推定相続人でなくなった場合においても、その特定贈与者からの贈与により取得した財産については、①の規定の適用があるものとします。

④相続時精算課税適用者は、一度選択しますと相続時精算課税を撤回することができません。

相続時精算課税に係る贈与税額の計算等

1.贈与税の課税価格

この規定の適用を受ける財産については、特定贈与者ごとにその年中において贈与により取得した財産の価額を合計し、それぞれの合計額をもって、贈与税の課税価格とします。

2.贈与税の特別控除

(1)内容
 相続時精算課税の財産に係るその年分の贈与税については、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格からそれぞれ次のいずれか低い金額を控除します。
 ①2、500万円(既にこの規定の適用を受けて控除した金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額)
 ②特定贈与者ごとの贈与税の課税価格

(2)手続
 ①この規定は、期限内申告書に次に掲げる事項の記載がある場合に限り適用します。
 (イ)控除を受ける金額
 (ロ)既に控除した金額がある場合の控除した金額
 (ハ)その他一定の事項
 ②①の規定の適用については、税務署長がやむを得ない事情があると認めるときは、この限りでありません。

3.贈与税の税率

2の財産に係るその年分の贈与税の額は、特定贈与者ごとに、(1)の規定により計算された贈与税の課税価格にそれぞれ100分の20の税率を乗じて計算した金額とします。

相続時精算課税財産の相続税の課税

1.特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した場合

特定贈与者(相続時精算課税の贈与者)から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者については、その特定贈与者からの贈与により取得した相続時精算課税適用財産(その価額がその取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものに限る)の価額を相続税の課税価格に加算した価額をもって、相続税の課税価格とします。

2.特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合

(1)特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者については、その特定贈与者からの贈与により取得した相続時精算課税適用財産をその特定贈与者から相続(その相続時精算課税適用者がその特定贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈)により取得したものとみなして相続税の課税価格及び相続税額を計算します。

(2)①の規定により特定贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税価格に算入される財産の価額は、その贈与の時における価額によります。

3.納付税額の計算

1又は2の場合において、相続時精算課税適用財産につき課せられた贈与税があるときは、相続税額からその贈与税の税額に相当する金額を控除した金額をもって、その納付すべき相続税額とします。