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失敗しない遺言書 第1回「遺言書があってももめる」(2012/01/12)

1 遺言書がありながら、もめた例

遺言書に記載された受遺者が遺言者より先に亡くなって受遺者に指定されていた財産(土地)をめぐって争いになった例、遺言書の記載された不動産が処分されていたため相続人の協議に変えたものの紛糾した例等、遺言書がありながらもめる例があります。

いずれも、遺言書自体は有効なものでありながら相続人の間に亀裂が生じた例です。ここでご紹介できればよいのですが、最近の話ですので割愛させていただきます。

その代わりといえば何ですが、遺言書が完璧ながらももめた例として有名な事件をご紹介します。

2 遺言による会社後継者争いの例

遺言書がありながら、世間を騒がした大きなものとして京都の会社の事業承継の事件があります。この具体的な事例を簡略化してお伝えします。

『3代目の会長が亡くなり、当時社長であった三男がご自身の奥様とともに、遺言書に従って会社の株式の大半を相続しました。

ところがその4カ月後に長男が新たな遺言書を提出しました。その遺言書の内容は先の遺言とは全く正反対で、長男に株式の大半を与える遺言でした。 

遺言書では重複する財産については日付の新しい遺言書が優先するため、長男の提出した遺言書が有効となったのです。

この結果、長男が会社を引き継ぎ、一方、三男は会社を辞め、別に新たな会社を興すとともに、遺言書が無効である旨の訴訟を起こしました。しかし、最高裁までいきましたが、長男の提出した遺言書が無効といえないとして敗訴になりました。

つづいて、三男の奥様が遺言の無効を訴えたところ、今度は逆転勝訴となりました。理由は、三男の方の遺言書は毛筆で書かれたものであるのに対し、長男のそれがボールペンであったこと、長男の方の遺言書では印の苗字が旧仮名づかいでなかったこと等が無効の根拠となりました。』

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 3 遺言書に問題はない

事業承継の紛争予防のため、遺言書の内容も不備はなく、法律にのっとって作成しているにもかかわらず、後継者争いが生じています。

やるべきことはやったのになぜもめるのでしょうか?

問題は法律を悪用されたことです。法律は自筆証書遺言を前文自筆、日付と押印があれば有効でその要件がみたされたのです。さらに同じ財産について重複した場合、後から作成された遺言書の内容が優先されてしまいます。

であるならば、誰もが悪知恵を働かせてこのような自筆の遺言書を作成することは可能です。(ただし、遺言書の偽造は相続人の欠格事由に該当しますので、そうなれば相続人としての財産を得る権利がなくなってしまいます)

また、先代が残した遺言書は自筆証書遺言でした。一般的に公正証書遺言の方が公証人が作成することもあって自筆証書よりも確実なものとみられていますが、今回のケースでは、先代の残した遺言書も後の遺言書も自筆証書であったため筆や印影あるいは筆跡等の比較ができたのではないかと思われます。

4 遺言書を完璧にしても100%でない

結局、遺言書をどんなに完璧に作成したとしても100%にする方法はなく、遺言書の内容を変更する場合には一定の方法(それ以外の方法は偽物である)によることと指定したり、生前中に相続人を集めて内容を開示し理解を得ること等により、遺言書の内容を補完していくことしかないように思われます。

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NPO法人 相続相談センター